【随時更新】個人的まとめ、京アニ放火事件の疑問点


京アニ放火事件の疑問点・矛盾点など 現時点でのまとめ>
https://writening.net/page?iRbzG6


こちらの記事を参考に、ソースを探したり情報を追記したりしています。


なお、先に申し上げておきますが
当方は上記サイトの執筆者ではございません。
なので、以下の文章は引用または転載という形になります。
申し訳ございませんが、著作者さまがこの記事を不服とされるようでしたら御一報頂ければと思います。すぐに対処いたします。




NHKの取材日でスタジオには京アニの主要スタッフが偶然にも勢ぞろい
NHK首都圏放送センターのディレクターは放火のあった10時半のすぐ後(11時)、撮影で現場を訪れるところだった

→当日は『アニ×パラ』の取材予定だった。7月24日の放送総局長定例会見での発言がソース
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019090401055&g=soc


NHKスタッフは火災に巻き込まれていない

→犯行時は現場に向かう車の中だった。下記参照。


・犯人確保の映像もNHKスマホ撮影しスクープ報道。タクシー車内から誰が犯人かわからないのに特定の人物(犯人)方向だけを皆で撮影。周囲にもっと醜い火傷の被害者がいるのになぜ?そしてスクープなのになぜ降りて撮影しない?しかも報道後にその映像をNHKは削除

→7月18日公開のNHK記事魚拓https://web.archive.org/web/20190718101344/http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20190718/2000017778.html
遅くとも20日には記事が修正されていた模様
https://twitter.com/yosh_1326/status/1152399486972354560?s=19


・犯人はNHKの撮影機材搬入に紛れ、NHKスタッフを装って台車でガソリン運び込んだ?(5chの未確認情報「京アニ知人によると、(NHKの)取材準備を装って他に5人くらいの人間が入ってきた。車で逃走した」との書き込みあり)

→0124 名無しさん@1周年 2019/07/20 13:47:11
京アニに知人が勤めてるんだが
犯人は岩崎以外にも5人くらいいたらしい
取材の準備を装って入ってきたみたいだ
車で逃げたってよ


5ちゃんねる ニュース速報+板【偶然】京アニ、来客(NHKの取材)対応のために事件当日だけセキュリティを切っていた事が判明★13(http://itest.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1563596047/)スレ内より引用


・当初NHKは「吉田達裕ディレクターが取材に向かっており、現場で遭遇した」と記事に記載。なぜかその部分を現在は削除
・いつもなら事件を現場で目撃したディレクターとアナウンサーのやりとりがニュース番組で取り上げられ、映像も出していた。今回はNHKは事実を捏造して報道し、ディレクターのスクープ記事も一部消した。おかしい
・犯人がいた更生支援施設は、数ヶ月前にNHKが特集していたあの施設?その時のディレクターと今回のディレクターは同一人物?

→7月30日、NHK広報局が声明を発表。ネット上で噂される当該ディレクターと容疑者との接点『事実無根』として否定。ソース:https://www.itmedia.co.jp/news/spv/1907/31/news059.html


・放火して逃げ出してきた犯人をしっかりNHKが映像撮影しているのは少々不自然。普通は京アニスタッフか犯人か判別できない。
・現場から500m離れた公園で警察より先にNHKが携行缶の空き箱という重要証拠を発見。さらに警察による押収シーンまで撮影し報道。わざわざこんな場所で目立つように捨てるだろうか?これは「やらせ」では?
NHKはその公園で着火剤の袋まで撮影し報道。風で飛ばないのが不思議。ホームセンターで買ったならレジ袋などもあって良いはず
NHKはこのタイミングで第7回京都アニメーション大賞の「ツルネ」を数ヶ月前に放映し、アニメーターが主人公の連ドラ「なつぞら」を放映中なのは偶然?
・フジでやってるドラマ「朝顔」では次回はちょうどガソリン火災ネタ
NHKの取材と犯行の日時が一致したことが被害拡大した要因でもあるのに、なぜかまったく報道では触れられない。報道規制
・7月18日の事件発生してから4日後の7月22日、クローズアップ現代で「京アニ 世界に広がる支援の輪」という特集を早くも放送予定という準備の良さ

・コンビニ強盗もまともに出来ず逮捕されるような脇の甘い男が、なぜこれほど用意周到に今回計画行動できたのか?精神障害生活保護受給者なのに?
・前日に近くの公園で目撃されているが、なぜ翌日まで襲撃せず待機していたのか?NHK来訪でセキュリティ解除されることをを事前に知っていたとしか考えられない
・前日に近隣の公園で寝ていれば不審者として通報されたり、職質され犯行不能になった可能性がある。用意周到な人間が、決行前にこんな脇の甘さを見せる理由は?
・ずっと目立つ赤Tシャツ姿だったようだが、なぜ目立たない服にしなかった?オレを覚えてくれと言ってるようなもの
・犯人(もしくは協力者)は不慣れなはずの京都でホームセンターやガソリンスタンドの場所などを短期間に綿密に下見し準備
祇園祭の前祭りの翌日朝で京都府警も無事に祭りの警備が終わってほっとしてるから絶好のタイミング。よく計画が練られており、一人で考えたとは思えない
京都府警はこの時期は捜査2課の選挙違反の対策のほうが忙しい

2)犯人は関東在住者だが、関東のスタジオや京都の本社でなく、なぜ京都のスタジオを狙った?

・宇治の本社ではなく伏見の第1スタジオを狙うあたり、アニメ会社の心臓部がどこかを理解している人間の計画的犯行
・第1スタジオは京アニの精鋭主力部隊。腕利きのアニメーターが集結。サーバセンターも併設され、京アニアーカイブも保存されていた。
・第1スタジオは出入り口を塞いでしまえば中のスタッフの逃げ場がなく、螺旋階段が煙突の役目を果たすので、ガソリンテロのターゲットとしてはもっとも効果的
・犯人は埼玉在住なのに、なぜ最寄の東京の京アニスタジオ狙わなかった?
・社長に恨みがあるなら宇治の本社を狙うはずでは?
・サーバセンターやアニメーターが集うスタジオを狙ったのは、京アニの作品そのものを抹消したかった?

3)無職で生活保護なのにお金はどう工面した?

・犯人は無職で生活保護。部屋のガス代も滞納し止められていた。
・生活に困窮していたのに、京都までの旅費や多数の刃物・高価な携行缶2つ買うお金はどこで調達?
・金に困っていた割には高価そうな刃物を見てくれと言わんばかりに取り揃えて準備。それをNHKが撮影し報道

4)「ヤクザ風で腹部に刺青がある白Tシャツの男」はいったいどこへ消えた?

・目撃証言では犯人は「ヤクザ風で白いTシャツで腹に刺青」だったのに、逮捕された犯人は「赤いTシャツ」のオタクデブ
・腹部にも刺青入れるのはファッションタトゥーではなく、ヤクザの可能性大。ヤクザは韓国・朝鮮籍が多い
・現在の報道では、京アニスタッフに追いかけられて犯人は確保されたとなっているが、近所の主婦が玄関先で燃えながら倒れてる青葉を介抱してたら警察が確保したとの証言と矛盾
・ホームセンターやスタンド、公園から犯行現場までの道のりで、台車をアスファルトの上を走らせるとガタガタうるさいはず。だが目撃証言がない。これは途中、車で手助けした人間がいるのでは?
・関東在住者の割には京都の土地勘があり過ぎるのでは?
・ガソリン放火の手口は実行犯のアイデアじゃなくて入れ知恵?元ネタは大邱市の地下鉄放火事件?それとも福知山花火大会の屋台ガソリンタンクまき散らし事件?
・頭のいい黒幕の立てた計画に沿って、実行しただけ?だがガソリンの引火性の強さは事前に教えてもらえず、黒幕は実行犯もガソリン爆発で死ぬことを期待していた?
・用意周到な犯人なのに、身バレする免許証を現場に携帯。放火犯(青葉)が死ぬことを見越して指示役が携帯させた?

5)もし協力者や教唆したグループがいたと仮定すると、犯行の目的は何か?

NHKはCGだらけのクソアニメを量産するのは、某国の下請け会社に外注し某国へ送金するため?京アニは下請け出さないので有名なで、この形で成功されると困る?NHKのアニメ韓国発注については国会質問でも「産業空洞化になるのでは?」と取り上げられた
・韓国にアニメの作り方を教えたのは、日韓政府の間で文化的支援の取り決めがあったから(岡田斗司夫談)
・最近はヤクザのシノギが芸能関係だけでなくアニメ業界にも及んでいる?京アニも狙われた?
・本社襲撃でなく、スタジオに精鋭を集めさせた上で犯行指示した奴らが居るなら最初から京アニの技術自体がターゲットだったのだろう
・刺青の実行犯はただの鉄砲玉で、主犯は別にいる?犯行計画があまりに完璧なので、誰か協力した人物がいる?
・日本で放火というと通常は灯油を使用。ガソリンで放火するのは日本というより韓国の十八番
京アニガソリン放火の翌日には韓国ソウルの日本大使館前でガソリン撒いて焼身自殺テロ発生
・恨みで放火というより偽装テロでは?
・この事件で得をするのは誰?日本のアニメ利権を狙っているグループ?たとえばアメリカの大手?中韓の大手?
・クールジャパンで日本コンテンツが世界進出することを嫌がるグループ?
・韓国軍産複合体が、ホワイト国から外され戦略物資が入手できなくなったことに対する報復?
京アニは韓国などへ下請けを出さない独立した会社だから狙われた?
・これは今後のガソリンテロの「リハーサル」?東京五輪は大丈夫なのか?

6)その他

・「パクりやがって」はネタを盗まれたの意でなく「逮捕しやがって」の意?犯行後に匿ってもらえる手はずだった?
・犯人は意識不明で名前すら聴取できないのに「小説を盗んだから放火した」と動機が先に報道されるのは不自然
・18日は6+6+6。すなわちビーストナンバーなのでテロや事件の危険日
・犠牲者33人。33は数秘術的に大きな意味を持つ
・犯人の主張によく似た(オレが京アニに応募した作品のネタをパクられた、など)書き込みが5chの人生板に多数存在
京アニを含めいわゆる「素人応募コンテスト」は素人のアイデアをパクるために行われているとの批判も(作曲コンテストも同様)
・響けユーフォニアムとコラボしていたH電車に向けた5chでのコピペ長文荒しが事件当日から止まっている

『紺青の拳』とはなんだったのか 〜劇場版名探偵コナン『紺青の拳』タイトルについての考察〜

ネタバレ注意。














今作のタイトル『紺青の拳』がどういう意味なのか、ずっと考えていて。
まあ普通に、今回の事件の中心にあるブルーサファイヤの名前ってのがひとつあるんですけど。

もうひとつ意味があるとすれば
キッドの「何も無い拳の中になにかあるように見せるのが怪盗、拳の中に何が入ってるのか暴くのが探偵」って台詞と
京極さんに課せられた「その拳を何のために振るうのか」って問い。



一旦、前作『ゼロの執行人』の話をします。

執行人においてコナンは安室さんに、一瞬「自分の正義観に反する行動をしている気がする」という疑念を抱きます。

それが、予告にもなってた「今回の安室さんは、敵かもしれない…」って台詞にも繋がってるし
実際最後まで観ても、安室さんの行動がコナンの正義観に則ってたのかは微妙です。
少なくともわたしの正義には反する。
(ここの話はTwitterで既にしてるので、こっちでは機会があれば)



で、話を今作に戻すと。
そもそもコナンとキッドが、探偵と怪盗という正反対の立場にありながらお互いに協力できるのは
この二人の正義観がかなり近いからだと思うんですよね。

二人の倫理観の共通点は、たぶん
『他者に不当な扱いを受けたり不利益を被る人がいるのが許せない』
『他人に迷惑をかけなければ自身の意思をできる限り尊重すべき』とか、そのあたりだと思います。
近代の基本的人権の尊重って概念をまるっと受け継いでる感じ。

だけどあくまでも立場は『怪盗と探偵』。
拳に意味を持たせる者と、拳の中身を暴く者。



そして、事件の真相に辿り着いた結果彼らが京極さんの問いに『赦し』を与えます。

キッドは、京極さんの拳の中に「愛する人を守るため」という大義名分が入っていると見せかけました。
コナンは、その拳の中が空であることを…つまり
実際は京極さんの意思そのものにしか拳を振るう意味などないと暴きました。



そして、その拳…つまり
キッドとコナンによって意味を与えられた京極さんの拳こそ
あのブルーサファイヤと同じ『紺青の拳』の名が与えられるべきものなのではないか、と思うのです。


探偵と怪盗と、格闘家。
それぞれ立場は違う。『拳』に対する向き合い方も違う。
しかも、京極さんとコナン以外三すくみのライバル関係にある。

だけどその三人が、「園子を守るため」というその一点においてのみ正義観が一致するというのが
どれだけ尊いことかコナンファンならわかると思うんです。


そして『紺青の拳』の名を冠することができたからこそ
京極さんは、探偵じゃないのに名探偵コナンのメインテーマをバックにアクションすることを許されたんだと思うんですよね。




ラストシーンで、京極さんがアメリカ?にまた武者修行に出ているシーンが挿入されます。
つまり、京極さんが拳を振るう理由は『強い人と手合わせしたい』に戻ったのだ、とわたしは解釈します。
そして、園子もそれを望んで、ツーショット写真を持たせて送り出します。

園子は、京極さんが好きになった女は
守られるだけのか弱い女でいることを望みません。
守られるだけではなく、自分も彼を守りたいのです。

「真さんはやっぱ、どっかで戦ってないと」

この言葉が、自由意志を彼等がどれだけ尊重しているかを端的に表している気がします。

劇場版名探偵コナン 紺青の拳 ネタバレ感想

お前だけは絶対に許さない。絶対にだ。















前作『ゼロの執行人』がやたら腐女子層にウケて
安室さんがめちゃくちゃ持ち上げられていたのがちょっと気持ち悪かったのですが

(よくよく考えたら安室さんは自らの正義の為だけにコナンを利用し蘭姉ちゃんを泣かせるという、視聴者からすると許し難い行為をしています)

今回の映画は前作であかあむ厨を釣った反動で
古参ファンを全力で喜ばせにかかっています。

コナン映画のこういうバランス感覚、好き。




まず、視聴者への犯人に対するヘイトの稼ぎ方がうますぎる。
・京極さんを疑心暗鬼に陥らせ
・そのせいで園子に怪我を追わせ、京極さんと危うく別れそうになり
・キッド様をボロボロに追い詰める

これをやられたら、古参ファンに
「こいつだけは絶対に許さない、絶対にだ」と言わせるには充分すぎる。
少なくとも私は涙目でずっとこの言葉を頭に浮かべてた。



…園子の病室のシーン、あれ完全に『瞳の中の暗殺者』のセルフオマージュでしょう。
あの時は入院してたのは蘭で、今作でいう京極さんの位置でずっと蘭が目を覚ますのを待ってたのが園子だった。
園子のそういうところ…友達の為にあそこまで尽くせるところが
京極さんが園子に惚れた理由な訳ですから。


…あのシーンで↑みたいな思考回路に陥った奴ほど
そのあとの園子の涙で落とされる訳ですが。




園子はなーーーーー、完全にメインヒロインなんですよね。
で、「守られるヒロイン」であることに喜びを感じつつも
ずっと守られ続けてお荷物になるのは嫌だって思ういい子なんですよ。そこまで含めてヒロイン。


そして、洗脳された京極さん。

「なんの為にその拳を振るうのか」って問いに、キッド様が赦しと答えを与えるのがナイスすぎる脚本ですよね。
自分自身と、愛する彼女を守るために戦う。
なんの為だなんて、それ以外に理由が必要ですか?



…最初、あのミサンガ結ばれた段階で
京極さんが自分で銃弾の射程内にミサンガ(だけ)を突っ込んで切るってシーンを想像してたんですが
それよりもはるかに良シーンでした。

ライバルに迷いを断ち切ってもらう。
コナンとキッド様がお互いにそういう関係であるように、
キッド様と京極さんもそういう関係になりうるんですね。





そしてラスト。
まさかの、変装に気づいていた蘭ちゃん。

まあね、さすがにあの強烈な中で結ばれてた幼なじみとあれだけの時間一緒にいて
違和感を与えないのは、たとえキッド様でも不可能ですよね。

例の台詞はシンガポール到着後すぐに言ってたので(わたしも違和感を覚えた。ちなみに本物の新一は小五郎のことを「おじさん」と呼びます)
かなり早い段階で蘭は新一の正体に気づいていたことになります。

…つまり、あの新一とのラブラブっぷりは
キッドを油断させるための演技。
蘭ちゃん、ヤバい。冷静にヤバい。

まあでも新一に鍛え上げられた女ですから
逮捕するために相手の手を握るくらい造作もないでしょう。
(きっと新一も許してくれる…キッドを捕まえるためだもん…!)って罪悪感に苦しむ蘭ちゃんをください。





それからですね、これは声を大にして言いたいのですが


…青山先生は空手を何だと思ってるんですかねえ(笑)

三幕構成とキャラクター哲学で読み解く創作物 『ちはやふる』編

けものフレンズ2』が話題ですね。

大変な不評で、ニコニコ動画では
「どこがどうダメなのか」と失敗の原因を分析する動画が大量にうpされる始末。


その中でもこちらの動画に感銘を受けたので
https://sp.nicovideo.jp/watch/sm34764041
https://sp.nicovideo.jp/watch/sm34681332

他作品の魅力をこの理論を使って分析してみようと思います。



第一回目は、末次由紀先生の『ちはやふる』です

(いや、第二回以降の予定とか全く考えてないけどまあとりあえず)。



以下、アニメ『けものフレンズ』と
ちはやふる』41巻までの壮大なネタバレを含みます。ご了承ください。






それでは、まず「三幕構成」でちはやふるを見てみます。

三幕構成とは、この文章内ではこういう意味で使ってます。

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ニコニコ動画『【ゆっくり解説】三幕構成を通して見るけものフレンズ一期』より


まず第一幕。
第一幕の流れはこういうものです。

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ニコニコ動画『【ゆっくり解説】三幕構成を通して見るけものフレンズ一期』より




これを『ちはやふる』にあてはめると…
漫画で言うと5巻、一年次の高校選手権全国大会団体戦、そしてその翌日の個人戦までが第一幕であることがわかります。

ちはやふる』のセントラルクエスチョンは、いうまでもなく
「綾瀬千早がクイーンになれるか?」ですね。
そこに各登場人物の思いが複雑に絡み合って、ひとつの物語になっている。


この三幕構成という考え方で見てみると、5巻の個人戦で印象的なシーンがあります。
現クイーンである若宮詩暢と対戦し、20枚差で惨敗。涙を流しながら「あの子に勝ちたい、勝つにはどうしたら」と切望する千早を見た太一の独白、



『ああ 今日だ いまやっと 千早の夢が 本物の夢に』
真島太一 ─『ちはやふる』5巻より引用



そして、ここに至るまでに
主要キャラ(真島太一、綿谷新、大江奏、西田優征、駒野勉、原田先生、須藤さん、ヒョロくんなどなど…)が紹介されます。




ちょっとここで、各登場人物の『哲学』にも触れておきましょう。


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ニコニコ動画『【けものフレンズ2】脚本が抱える問題点についての考察【ゆっくり】』より



綾瀬千早の夢は、物語開始当初は
『お姉ちゃんが日本一になること』でした。

それが、綿谷新が転校してきて
彼に「自分のことでないと夢にしたらいかん」と諭されたこと、
彼のかるたへの情熱に感化されたことによって

『日本で一番=世界で一番=クイーン』になること、に変更されます。

(この時はまだうすぼんやりとしか思っていなくて、
後に太一に「新につられて言ってるだけで本気でクイーンになろうって思ってないんだろう」と言われていますが)


そして、何故かるたでクイーンになることが夢なのか?
その理由は明確です。



『あたしたちにはかるたがあるから また会えるんじゃないの?
続けてたらまた会える 絶対会えるよ』
綾瀬千早 ─『ちはやふる』2巻より引用



つまり、先程
「『ちはやふる』は綾瀬千早がクイーンになれるか?がセントラルクエスチョンである」と書きましたが
「クイーンになること」は、少なくとも小学生編時点では、千早にとっては中目標なんですよね。


大目標は…『新と太一と、ずっと友達でいること』。



つまり、『ちはやふる』の物語は
千早と新と太一の友情…
つまり、『また会える』のかどうか、が
真のセントラルクエスチョンなのではないかと思います。

その為の中目標が『クイーンになること』なんじゃないかな。



続いて、新の夢。
これは「祖父のような名人になること」。

しかし、祖父の死によって
大目標が消失してしまいます。


『かるたとか もう やってないから』
綿谷新 ─『ちはやふる』2巻より引用


それを変えてくれたのは、千早でした。
祖父が亡くなってからも、かるたをやらなくなっても
ずっと考えていた新。
千早からのメールを見て、全国大会の近江神宮にやってきて
あの頃と変わらないまっすぐな千早を見て、新の大目標も再設定されます。



『じいちゃん
おれ かるたが好きや』
綿谷新 ─『ちはやふる』4巻より引用


この新の大目標の変更をみると、新の『哲学』がみえます。

かるたが大好きで
かるたを教えてくれたじいちゃん、綿谷先生が大事で大切で、誇りで。
同時に千早と太一が大切で。
不器用だけど芯が強くて、心優しい少年。



しかし、綿谷新の『大目標』に立ちはだかる現名人、周防久志はまだ5巻だと未登場なんですね。

周防さんが初登場するのは単行本8巻、年明けの名人・クイーン戦をテレビで観戦するシーンです。


なんでこの人が第一幕終了までに出てこないのかっていうと
主人公・綾瀬千早目線でみると、
周防さんの存在は『問題解決の糸口』なんですよね。

それが他の登場人物、例えば8巻だと肉まんくんが一番象徴的なんですが
彼ら男性陣の目標に立ちはだかる壁として
周防さんが登場すると同時に、
千早にとっては『クイーンになる』というセントラルクエスチョンに対しての自分の武器を手にする。



『綾瀬にも20枚あるみたい
なにがって 一字決まりが!』
駒野勉 ─ちはやふる 9巻より引用



ここである程度『ちはやふる』の物語がどういう物語なのかがわかってくるのですが
改めて、第二幕がどんな役割なのかを考えます。



第二幕とは。
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ニコニコ動画『【ゆっくり解説】三幕構成を通して見るけものフレンズ一期』より




これを『ちはやふる』の物語で考えると

千早以外の人間の大目標、
例えば机くんの「みんなをサポートしたい」とか
かなちゃんの「実家の呉服店を継ぐためにわたしにできること」とか、須藤さんの「文武両道」とかによって
千早が考え、影響され、成長していく、という物語であると考えられます。


しかし、順調に成長していくかと思いきや
その日は突然にやってきます。



ここにきてようやく、真島太一という人物の『哲学』が明かされるのです。


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ニコニコ動画『【ゆっくり解説】三幕構成を通して見るけものフレンズ一期』より



『好きじゃない 好きじゃない かるたを 好きじゃない
好きじゃない
そんなこと認めたら そばにいられない』
『それでも耐えるくらい 好きだったんだね あの人たちが』
真島太一、周防久志 ─『ちはやふる』27巻より引用


太一は、かるたが好きだったのではなく
千早をはじめとするみんなが、大好きで、大切だったのです。

一番になれなくても。
親からプレッシャーをかけられても。
千早と新がいたから、ずっとかるたを続けて。
みんなに出会って。そのみんなが大切だったから、やめられなくて。
好きじゃないなんて、絶対に言えなくて。


太一の大目標は『医学部進学』『一番になること』のはずでした。
それが、『ちはやふる』の物語の中で彼はずっと、彼の『哲学』によって大目標を曲げ続けてきたのです。
愛した人達のために。



彼から恋心を告げられ、『ごめん』と言ってしまった千早は
彼と同じように、かるたが取れなくなってしまいます。

百枚全部、真っ黒に見える。
札が、冷たくて、重い。


この頃には千早の大目標は完全に『クイーンになること』にシフトしていたのですが
最初の大目標は『ずっと友達でいること』だった。

これはもはや哲学の方ですね。
ずっと太一を傷つけていた自分が、許せなくなった。


逃げるように勉強に走る千早。
思いっきり勉強して、勉強して、最後に辿り着いた結論は。


『勉強すればするほど 本は 言葉は 文字は
こんなには いらないなぁって……』
綾瀬千早 ─『ちはやふる』28巻より引用


………深作先生でなくとも、「そんなところに辿り着く???」と思ってしまいますが
千早はそんな子だった、っていうのが28巻の間にもう充分すぎるくらいに語られているので、妙に納得してしまいます。笑

猪突猛進。
語彙のほとんどがかるたに始まりかるたに終わる。
それもこれも全て、新と太一の為に。



そして物語は第三幕に。

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ニコニコ動画『【ゆっくり解説】三幕構成を通して見るけものフレンズ一期』より


千早はクイーンになれるのか。
そして三人の友情はどうなるのか。


涙なしには見られない40巻を添えて、今回の考察を締めたいと思います。

ちはやふる(40) (BE LOVE KC)

ちはやふる(40) (BE LOVE KC)

『かるたを一緒にしてくれて ありがとな』
綿谷新 ─ 『ちはやふる』40巻より引用

マスカレードホテル感想

観てきました。

面白かったです!

ネタバレしない程度にかるーく、感想を書いてみようかと。

 

 

なんといっても見どころは超豪華俳優陣と日本のドラマのエキスパート達の夢の共演じゃないでしょうか。

「演出が過剰すぎる」って声もあるようですが、私にはあれが心地よかったです。

 

ホテルの重厚感といいますか、徹底的なまでの手厚い接客が受けられるあの空間の非日常さ。

そしてそれが事件と絡んでくることによるスリル。

それを表現するためのあの演出はとても好みでした。

 

 

そして俳優陣の素晴らしさ。

主演の木村拓哉さんは、ホテルのフロントマンなのに眉間にずっと皺を寄せている、根はまっすぐで素直なのに常に人を疑って生きているあの感じを、恐らく今の日本で1番ナチュラルに表現できる俳優さんじゃないでしょうか。

キムタクって、ずっと眉間に皺寄せて歌ってるイメージが強かったので(笑)

 

長澤まさみさんとの、正反対だけど似ているところがあって互いに共感して高めあえる『相棒』って感じが

人間ドラマとしても見ていてとても心地よいものでした。

 

 

恐らくこの2名と一部を除く警察官役以外は、殺人事件の犯人だと思わせるために全員が「思わせぶり」な芝居を要求されてたんじゃないでしょうか。

 

 

特にホテルに度々披露宴の打ち合わせに訪れる新婦役・前田敦子さんは、以前観た『イニシエーション・ラブ』の影響もあってか、普通に幸せそうな新婦さんなのになんかありそう感が…(笑)

これは役と役者さんを混同してしまっている…反省します。

 

 

 

真犯人役の方(名前は伏せておきます)は、もはや「この役がその方である」ということすらわからないくらいの怪演。すごかったです。

地上波放送したら、前田敦子さんの『イニシエーション・ラブ』同様名前を出したい作品があるのですが、今はまだやめておきます。

 

 

(前田敦子さんが犯人ではないことをネタバレはしてしまっていますが…ゆるして…ごめんなさい)

 

 

総じて、めちゃくちゃ面白かった。

今の日本で作れる最上級の作品だったと思います。

これは劇場の音響と大きなスクリーンで観て正解でした。推しておきたい。

ちはやふる40巻を読んだ

ちはやふる40巻。
泣いた。
40巻だけで読んで泣いて、38巻から通して読んでまた泣いて、眠れなくてこうして文章を書いてしまうほどに。



学習塾で働いている。
塾にきている子達に、青春全部懸けて将来に向き合って欲しいと思っている。

わたしが、できなかったから。




高3で病気にかかった。
入院が必要だった。
勉強時間が足りなくなった。

過去問を解く時間どころか
日本史の近現代に全く手をつけていない状態でセンターに挑んだ。


過去問解いてないで受かるほど入試は甘くない。
一般入試はほぼ全部落ちた。
本当はセンター併願で合格する滑り止めのつもりで、でもセンターの点が合格ラインぎりぎりで慌てて出願したところにしか受からなかった。



だから、今の生徒たちには、絶対「時間が足りなくて後悔する」なんて思いをしてほしくない。





今、風邪をひいている。
今日はマスクをつけて、時折咳をしながら勤務先の塾にいた。
昼休みに買ったちはやふるをバッグに入れて。

そんな自分が、たまらなく無責任で、生徒たちに申し訳なくなった。


作中の主要キャラも、受験生。
彼らには風邪をひいて休む時間はない。

わたしたちが、彼らに風邪を移すわけにはいかない。


明日からは絶対、マスクを外して生活するのをやめよう。
本当はマスクを外した方が礼儀正しいのはわかってる。
実際ひきはじめの時、咳が出なかったから、受付で保護者対応するのにマスクを外して
そしてそのまま一日を過ごしてしまった。


だけどもうそんなことを言ってられる場合ではない。
彼らに会う生活をしてるのに、わたしが風邪菌をばらまいてどうする。

塾の生徒たちは、青春全部懸けてあそこにいるのに。

ハチミツとクローバー 3つ目の答え 考察

みなさんだいたい解答は同じなんですけど
その先の考察までいってるサイトをなかなか見ないので、自分で書くことにします。


羽海野チカ先生の『ハチミツとクローバー
これ以外にもめちゃくちゃ名言が多くて、ハチクロは人生だと思ってます。めっちゃおすすめ。

全10巻のハチクロの中でも屈指の名言だと思うのが、『3つ目の選択肢』





以下、『ハチミツとクローバー』の盛大なネタバレを含みます。ご注意ください。


















「『努力する』か『諦める』か どっちかしかないよ
人間に選べる道なんて いつだってたいていこの 2つしかないんだよ」


「──けれど僕は この時ひとつ 嘘をついた
3つあったんだ 選択肢は ほんとうは
──でも

2つしかないと信じていた方が 道はひらけるから

3つ目の答えを 僕は
口に しない」


羽海野チカハチミツとクローバー』5巻より引用




これ、3つ目の答えというのは
「努力する、諦める以外の方法」であり、かつ「(選んでしまったら)道がひらけない、閉ざされるもの」ということで

『現状維持』『なあなあにする』『何もしない』あたりのことだと推察できるんですが


問題は
花本先生が今までのどの経験から、この3つ目の答えは道を閉ざすと感じたのか。


私は、これ本編の壮大な伏線だったのでは、と思ってます。


リカさんのこと?

でも、先生はリカさんに対して、自分は以前の生活をやめて諦めた代わりに真山をリカさんのもとでバイトさせるという努力をしてますよね。
なあなあにはしてないと、私は思います。

(このあたりは個人の感じ方にもよると思うので、真山に託したことを『なあなあにした』と感じる方もいるかもしれません)


先生の中で1番重い挫折体験は「親友だった原田さんの死」だと思う(というか、本編では美大入学時の挫折とそれくらいしか先生の過去エピソードがない)のですが

これではないということは
『3つ目の答え』は伏線でもなんでもなく、
羽海野先生自身が読者に3つ目の答えを選んで欲しくなかったから明示しなかっただけ?




…あるじゃないですか。
花本先生がなあなあにしていたこと。

『登場人物全員片想い』というキャッチコピーがつけられていたハチクロ
あゆが真山の自分への行動の奥にあった感情に気づくなんて最高の場面で、張られてた伏線が。


いとこの娘である、はぐちゃんへの恋心を
先生は何年もずっとなあなあにしてきて

そして最終的に、本作のヒロインであるはぐちゃんは、先生を選ぶ。

この展開に衝撃を受けた人、多かったんじゃないでしょうか。
何を隠そう、私も衝撃を受けた一人です。


でも、5巻の段階で「先生が、恋心を『なあなあにしていた(いる)』」って伏線が張られてたと解釈すれば
あのラストも比較的すんなり受け入れられませんか?




先生の恋心。
傍目には父娘にしか見えない年齢差の、いとこの娘への恋愛感情。
実際はぐちゃんへの関わり方も、お父さんの代わりに運動会に参加したり、おねしょのシーツを干したり…完全に父娘のそれ。

努力するでもなく
諦めるでもなく

先生は、はぐちゃんと『今のままの関係の維持』を、ずっとしてきていました。


「(恋愛感情との)境目は説明しようと思えばできるけど、恥ずかしいからダメ」と先生は言っていたので、いつからかはわかりませんが
それなりに長い期間、はぐちゃんへの恋心をなあなあにした状態で片想いしていたと思われます。

しかも、はぐちゃんの恋の相手候補(森田さんと竹本くん)も出てたにも関わらず。
嫉妬はしてましたけどね…(笑)




『3つ目の答え』のシーンに話を戻すと。

先生が『努力するか諦めるか(もしくは3つ目の答えか)』を選ぶ、と直接的に言っていたのは、あゆにプロポーズした幼なじみたちでした。

彼らは、『諦める』を選択したものと思われます。


では…彼らと重なっていた、あゆはというと。
しばらく、『努力する』も『諦める』も選んでないんですよね。
なあなあにしてる。

真山の気を引くために野宮さんを利用したり
『ずっと好きでいつづけて自分の気持ちを思い知らせたい』と思っていたり。

最終的に、真山への執着や意地みたいなものよりも
野宮さんの存在が大きくなって、やっと前に進みます。



この、野宮さんルートに踏み出す前の、不毛な片想い。
先程考えていた「先生のはぐちゃんへの恋心」と、少し被りそうな気はしないでしょうか?
勿論、シチュエーションはだいぶ違うのですが。




なんて、秋の夜長に少し考えていました。
やっぱりハチクロは人生。